kadokawa
イベント・説明会 資料請求

NEWS & BLOG

「レコード会社のお仕事」とは?
ユニバーサルミュージック
現役プロデューサーによる講演会を実施!

2025/01/30 (THU)

<ユニバーサルミュージック>
嶋津央氏に聞く音楽業界のこれからについて

「今では色んなアーティストとお仕事をさせていただいていますが、学生時代は漠然と音楽の仕事をしたいと思っていたものの、レコード会社が何をしているのか良くわかりませんでした。かつて、音楽業界では、レコード会社とマネジメント会社は別々に機能していましたが、現在は事務所機能、ライブ制作もレーベルで行うケースも増えてきました。
今日の講演会で少しでも具体的なお仕事がわかり、一人でも多くの方が音楽業界で働く仲間になってくれれば」とメッセージ。

今回は、9月中旬に実施された、ユニバーサルミュージック合同会社 嶋津央様による「レコード会社のお仕事とは?」講演会をレポート!

 

嶋津様は1979年生まれ、京都大学法学部をご卒業。2002年、東芝EMI株式会社(当時)に入社。「バンド活動をしていたのですが、自分はステージの上から音楽を届ける人ではないと気付きました。そして『アーティストの才能を届けるのであれば自分でもできるのではないか』と思い、音楽業界を志望。東芝EMIに新卒で採用されました。東京で入社し、大阪で2年ほど宣伝業務に従事しました。制作の仕事がしたく、2004年からは東京に戻りA&Rに。A&Rとは簡単に言うとアーティストと楽曲制作の責任者となる仕事」です。

A&Rとは、Artists and Repertoire(アーティスト・アンド・レパートリー)の略。2004年~2013年に、A&Rとして、ウルフルズ、9mm Parabellum Bullet、MIYAVI、布袋寅泰、赤い公園、GLIM SPANKYなどのアーティストをご担当。「2013年に、EMIミュージックジャパン(当時)は、ユニバーサル ミュージックと経営統合しました。そして私は2014年に株式会社タイスケに転職し副社長を務めます。2017年まで、主にAwesome City Clubなどの新人アーティストを担当しました」

2017年~ユニバーサル ミュージック合同会社に復帰し、現職 はEMI Records 制作本部本部長 兼 デジタル本部 本部長 兼 Virgin Music A&R本部 VA部部長 兼 レーベルズマーケティングを務めています。

「ご縁をいただき、ユニバーサル ミュージック合同会社に戻りました。これまでに、さまざまな領域で延べ80組以上のアーティストとお仕事をしています」

<そもそも、レコード会社のお仕事とは?>

「レコード会社は、音を録音物として固定して販売する会社です。ストリーミングなどのデジタルやCDやアナログ盤などのフィジカルなどと呼ばれるフォーマットで販売を行います。ユニバーサルミュージックは、自社オンラインストア『UNIVERSAL MUSIC STORE』を持っているので、お客様に直接音楽を届けることもしています」

<音楽業界の各業種紹介>

レコード会社/マネジメント/音楽出版社/DSP/デジタルディストリビューター/CDショップ/ライブ制作/イベンター

「音楽業界には、さまざまな業種があります。マネジメント会社は、アーティストの活動全般をサポートします。次に、音楽出版社は主に音楽著作権の管理などを行っています。DSPは、デジタルサービスプロバイダーの略で、Apple、Amazon、Spotify、LINE MUSICなどデジタル音楽配信事業者のこと。デジタルディストリビューターはTuneCoreなど、オンライン上で音楽を流通できるサービスです。そして、CDショップは、タワーレコードやHMVなどCDやレコードを販売する会社。さらに、ライブを制作するライブ制作会社、会場をおさえイベント運営を仕切るイベンターなどがあります」と、一つひとつ丁寧に解説。

<メジャーレーベルの存在意義とは?>

「レーベルの機能はアーティストと契約し、音楽を制作し、宣伝をします。いまは、誰でもアカウントを作って、音楽を発表できます。なぜメジャーデビューする必要があるのか、我々の存在意義が問われています。弊社社長の藤倉はかつて『妄想3原則』というものを提唱していたそうです。次のどれかひとつでも妄想できるアーティストと契約をすべきという原則です。1.ミリオンセールスを作れる 2.紅白歌合戦に出ることができる 3.東京ドームでライブすることできる
多くの宣伝費を投じて世界中に音楽を届けたり、東京ドームでのライブを企画したりするような大規模な活動は、個人活動やインディーズでは簡単にはできないと思います」

<レーベルの職種|4種>

<①A&Rとは?>
「レーベルの業務について具体的に説明します。A&Rはアーティストと楽曲の責任者として、制作の仕事をします。新人発掘のため、InstagramやTikTokなどSNS経由でDMを送ってコンタクトすることもあります。契約をしたら育成をし、アーティストと一緒に楽曲制作をします。あがってきた曲に対して、様々なフィードバックもします」
他にも、レコーディングに関わる仕事はもちろんのこと、ライブにおけるセットリストの組み方、SNSの投稿に至るまでアドバイスすることもありますし、アイドルなど自作自演ではないアーティストの場合は作曲家・作詞家に発注しレコーディングまでの進行管理を行います。さらにアートワークの制作も行なっており、アートディレクターやデザイナー、カメラマン、スタイリスト、ヘアメイクなどのスタッフをアサインして制作進行します。「この辺りの制作に関連する様々なお仕事を、A&Rが担当していきます」

<② MPとは?>
マーケティングプランナーやアー担とも呼ばれる
「アーティストの楽曲をどうマーケティングしていくか考えるのがMPです。一例として、アーティストのリスナー層はどういった属性の人なのか、様々な分析を行い、ブランディングします。例えばボーイズグループなら、歌と踊りが上手い人はいっぱいいます。面白いキャラとして売るのか、ダンスに特化するのか、戦略が重要です。SNSやマスメディアへの『メディアプランニング』、アニメ、映画、CMなどへの『タイアッププランニング』も行います。広告のプランニングは、SNSやメディアだけでなく、OOH(外でみる広告)などもトータルで考えます」

<③ プロモーターとは?>
「プロモーターは、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などへのプロモーションや、タイアッププロモーションを行います。テレビであれば、番組ブッキングや、情報番組への出演交渉を、新聞や雑誌へ掲載されるときは、取材をしてもらったものの原稿や写真をチェックすることもプロモーターの仕事です」

<④ デジタルマーケティングとは?>
「デジタルマーケティングは、X、Instagram、TikTok、YouTubeなどSNS運用を行います。例えば、情報解禁からどのような投稿をしていくか?ボーイズグループなら、ダンスプラクティスを出していくといった施策を考えます。デジタル広告は、どういった層に、どのような手法で何を作り届けるかを考えます。最近では、ユーザーがつくる『UGC(User Generated Contents)』からヒットが生まれることも珍しくありません。」

 

<音楽業界で求められる人材像とは?>

① 社訓:「人を愛し、音楽を愛し、感動を届ける」
「音楽をつくるのは、すべて「人」です。アーティストと共に歩み、世代や国境を超えて音楽の感動を届けたいと思っています」
② 「Be ahead, Be creative, Be a changemaker」
「時代の先を読み、先んじて行動し、創造性を発揮し、変化を起こせる人であれ、という意味が込められています。ここまではユニバーサルミュージックが会社として掲げているメッセージですが、これ以降は、私が個人的に大切にしている価値観です」
③ 「仕事を私事に」
「仕事の仕を『私』に変えて、“ジブンゴト”ととらえて動ける人と、働きたいです」
④ 「すぐやる、丁寧にやる、約束を守る」
「最後に、学生時代のうちに、年齢の違う人、自分とは違う趣味を持っている人に会って話してください。フェス、テーマパーク、デジタルインスタレーション、美術館、お芝居などに足を運んでみてください。感動する経験は多ければ多いほどいいです。もうひとつ、大事にしてほしいのは『一期一会』。一つひとつの出会いを大切にして一生懸命向き合ってください」とエールを送りました。

 

在校生からの質問にも、わかりやすく丁寧に答えてくださいました。

――― 今後の音楽業界はどうなっていきますか?
「市場規模はまだまだ拡大するポテンシャルがあり、世界的には成長産業です。日本国内でもコロナ禍を機にストリーミングが急激に成長して、デジタル分野を中心に成長が続いています。ストリーミングの有料会員になってない人はまだまだいますし、音楽とテクノロジーは相性がいいです。特典映像などの付加価値を付けたCDや世界的に市場の成長が続くアナログレコードなどフィジカル商品の需要も継続しています。」

――― 学生時代に、習得しておくべきスキルは?
「SNSの運用スキルは役に立つと思います。自分でアカウントを持ち、コンテンツを作ってみてください。投稿してインプレッションを見て。高いときは、なぜ高いのか研究して。コンテンツを運用して、PDCAを回す経験をしておくと業界に入った時に無双できるかもしれません(笑)強力な武器になると思います!」

――― 面接では、どんなことを聞かれますか。
「音楽が好きかどうか?また、その人自身のパーソナリティを見ています。聞かれたことに対してコミュニケーションが取れていればひねった答えでなくとも構いません。あとは、メンタルが強く、ストレス耐性があり、大変なことも受け流してポジティブに変換できる人だといいと思います!」とメッセージ。

在学中から、業界をリードするプロフェッショナルのお話を聞くことで、業界選びや進路選択の判断材料を得ることができました!嶋津様、貴重なお話を、ありがとうございます。

【嶋津 央様|プロフィール】

【GUEST PROFILE】

ユニバーサル ミュージック合同会社
EMI Records 制作本部 本部長 兼 デジタル本部 本部長 兼 Virgin Music A&R本部 VA部 部長 兼 レーベルズマーケティング

1979年 奈良県出身。2002年 京都大学法学部卒業後、東芝EMI株式会社(現:ユニバーサルミュージック合同会社)入社。関西地区のメディア宣伝を担当後、2004年よりA&Rとして邦楽アーティストの制作を担当。2014年 株式会社タイスケに副社長として入社し、所属アーティストのマネジメント全般・制作業務・自社スタジオ運営を統括。2017年にユニバーサルミュージック合同会社に再び入社後、現在に至るまで制作/マネジメント/デジタルマーケティングと様々な領域を横断的に担当している。

【COMPANY PROFILE】

ユニバーサル ミュージック合同会社

ユニバーサル ミュージック グループは、芸術がもたらす力で文化を育みます。
音楽を軸にエンタテインメント分野で世界をリードし、音楽制作や音楽出版、マーチャンダイジング、映像コンテンツなど幅広く事業を展開しています。
あらゆるジャンルを網羅した最も包括的な音楽作品のラインアップを提供し、アーティストの発掘・育成を行い、世界中で高く評価されるヒット作品を数多く届けています。
芸術性・革新性・起業家精神を重視し、アーティストの価値を高め、音楽ファンに新たな体験を提供するためのサービス・プラットフォーム・新たなビジネスモデルの開発に取り組んでいます。
ユニバーサル ミュージック合同会社は、ユニバーサル ミュージック グループの日本法人です。

Universal Music Group  www.universalmusic.com
ユニバーサル ミュージック合同会社  https://www.universal-music.co.jp/

 

 

 

お仕事適職診断バナー
高校卒業資格取得可能!クリエイターを育成する新しい高校 - VANTAN CREATOR ACADEMY高等部