YouTuberのマネージャーへの道のりを解説!必要なスキルは?やりがいや年収、将来性は?
「人気のYouTuberと一緒に仕事ができるかも」と、YouTuberのマネージャーに興味を持つ人も多いのではないでしょうか? 一方で、芸能人のマネージャーとは何が違うのか、実際にどのような仕事をするのかなど、具体的なことはよくわからないという人もいるでしょう。
そこで、GROVE株式会社でYouTuberのマネージャーとして活躍する、永田早紀さんにお仕事の内容やなるためには何を学べばいいのかなどを解説してもらいます。
YouTuberのマネージャーとは?
SNS上で活動する人をサポートするお仕事
YouTuberのマネージャーというと、芸能人のマネージャーと同じように、スケジュール管理や、YouTuberの身の回りのサポートをするといったイメージがあります。また、マネージャーではなくアシスタントと呼ばれることもあるようです。実際には、どのような仕事をするのでしょうか?
「YouTuberのマネージャーは、『YouTubeをはじめとするSNS上で活動する人をサポートするお仕事』です。サポートを必要としない人もいますが、現在SNS上で活躍している人の中で、ひとりですべてやっている人は少ないと思います。
ひとりで動画の企画を考えて編集を行っていると、『これって本当におもしろいかな?』『マンネリになっているような気がする……』などと行き詰まってしまうことがあります。そうした時に客観的な意見があれば、自信を持ってより良いものを発信できるようになります。
私が所属しているGROVEという会社は、SNS上で活動している人たちがたくさん所属しているインフルエンサープロダクションです。GROVEではその人たちのことをクリエイターと呼んでいるのですが、マネージャーチームの一人として、複数のクリエイターを担当しています」(永田さん。以下同)
芸能人のマネージャーと違うのは、SNSのコンテンツに関するアドバイスを行うところ
芸能人のマネージャーとの違いはどんなところでしょう?
「芸能人のマネージャーとの大きな違いは、SNSコンテンツを発信するうえでさまざまなアドバイスを行うところです。私は『〇〇さんのユーザーには、こういう動画が共感されると思うよ』『最近のYouTubeの傾向だと、こういうアイデアを入れるといいんじゃないかな』など、トレンドやニーズを踏まえて具体的なアドバイスをするよう心掛けています。そのためには、ミーハー心を持ちながら広く情報を集めることが大事だと思っています。
また、芸能人のマネージャーと共通しているところかもしれませんが、新しい人材を発掘するのもYouTuberのマネージャーの重要な仕事です。SNS上でおもしろい発信をしている人を見つけ、将来インフルエンサー(SNSを通じて世間への影響力と拡散力を持つ人)として成長するかどうかを見極めます。もちろん、芸能人のマネージャーと同じようにスケジュール管理も行います」
スカウトしたクリエイターが夢を実現する姿を見るのが、何よりのやりがい
YouTuberのマネージャーには、どういったやりがいや魅力がありますか?この仕事をしていて、印象的なことを教えていただけますか?
「スカウトした人たちがどんどん成長していくことに、とてもやりがいを感じます。例えば私がスカウトした男女2人組のクリエイターには、『オリジナル曲を出したい』という夢があったんです。そして、その夢を叶えるためにSNSで活動していました。私はマネージャーとして彼女たちが夢の実現に着実に近づくことを常に意識しつつ、SNSに投稿するネタやアイデアを提案しました。徐々に人気は上がっていき、とうとう渋谷の大型広告ビジョンで彼女たちの歌が流れるまでに至ったんです。その映像を見た時はこの仕事をやっていて良かったと心から思いましたね」
YouTuberのマネージャーの多岐にわたる仕事内容
動画の再生回数を増やすための分析・マーケティングを行う
まず、YouTuberのメインの活動である動画配信について、マネージャーが行うのはどんな仕事でしょうか?
「クリエイターのメインの仕事は、自分自身が作った動画の発信です。自身の持つチャンネルやアカウントの動画再生回数や登録者数が延びることで、企業から依頼されるPR案件が増えていきます。クリエイターが作った動画が1か月でどれくらい再生されたか、投稿した動画の中で一番再生数が多かったものはどれかなどをチェック・分析し、『再生数が多いのは、このアイデアが良かったからだよ』といったアドバイスをするのも、マネージャーの大切なお仕事です」
テレビや雑誌の仕事が増えるとスケジュール管理も重要に
YouTubeやInstagram、TikTokで人気コンテンツになると、テレビや雑誌など活躍の場も広がっていきます。そうした時にマネージャーのサポートがいっそう重要になってきます。
「インフルエンサーとしても注目を集めるようになると、テレビ出演や雑誌の取材、WebCMなど、仕事の依頼が幅広く舞い込んできます。YouTuberのマネージャーは、スケジュール管理はもちろん、撮影現場に行く準備や現場でのサポートなども行います。この部分は、芸能人のマネージャーの仕事と同じところだと思います」
営業担当と連携し、PR案件を管理・支援する
YouTuberには、SNSを通じて世間に大きな影響を与えるインフルエンサーとしても活躍する人が多いです。具体的には企業からPR案件の依頼を受けるようになります。そうした活動をどのようにサポートしているのでしょうか?
「インフルエンサーでもあるYouTuberは、企業から商品・サービスの宣伝を依頼されるようになります。企業から『GROVEに所属しているAさんに、うちの商品をYouTubeで紹介してほしい』と指名されるだけでなく、『YouTubeで自社のこういう商品を宣伝したいので、イメージに合っている人を紹介してほしい』という依頼を受けることも多いです。こうした企業とのやり取りは、私が所属しているGROVEでは営業チームのメンバーたちが担当しています。また、営業チームでは、企業に対して『御社の新商品を宣伝するのにピッタリのクリエイターがいるのですが、起用していただけないでしょうか?』と売り込みの提案も行います。
営業チームが企業から依頼された商品・サービスに合うクリエイターを検討し、担当マネージャーへ依頼内容を伝えます。話を聞いたマネージャーは、その企業が商品を紹介するうえでやりたいことと、クリエイターがやりたいことがマッチしているかなどを、より細かく検討します。クリエイターの夢や個性などを理解しているのは、やはりマネージャーだからです。そして、依頼内容がクリエイターのブランディングに合わないと判断すれば、そのことを営業に伝えてお断りすることもあります。一方、マッチしていると判断すれば、クリエイターとスケジュールの調整を行います」
動画の企画を一緒に考える
PR案件の仕事が確定したら動画制作に取り掛かります。そこではマネージャーはどういったことをするのでしょう?
「依頼された商品やサービスを紹介するにあたり、どのような動画が作れるかをクリエイターと一緒に考えます。依頼内容を伝えるだけでクリエイター自身がスムーズに企画を立てることもありますが、うまくイメージできないことも少なくありません。また、ただ単に依頼内容を説明するだけではクリエイターも不安になりますから、企画のヒントになるようなアイデアも提案し、いい企画ができるようサポートします」
楽しく仕事し、クオリティの高い動画を作ってもらうためにアドバイスやサポートも大事
企画内容が固まったら、いよいよ撮影・動画編集が進行します。企業からの要望をくみ取りつつクリエイターと会話し、求められているクオリティを実現させていきます。
「企画ができあがったら、その内容でいいかどうか、企業の確認をとります。言い回しなど細かいところも含めて修正してOKが出たら、撮影に入ります。撮影や動画編集はクリエイターが自分たちで行い、制作した動画は営業を通じて企業に確認してもらいます。そこからも修正が何度か入りますが、その際はただ『修正が入った』と伝えるのではなく、『こういう理由で修正してほしいと希望している』と企業の考えをわかりやすくクリエイターへ伝える一方、『この部分はとてもホメていたよ』といった精神的なサポートも心掛けています」
YouTuberのマネージャーを目指す前に知っておきたいこと
給料・年収は一般的な企業と同じくらい
YouTuberのマネージャーのお給料は、一般の企業で働く人に比べて高いですか?
「プロダクションの規模などにもよると思いますが、YouTuberのマネージャーの年収は一般的な企業とあまり変わらないという印象があります。一般的な企業で働く30代の平均年収は400万円と言われていますが、同業の人たちを見ていると、だいたい同じくらいではないかと思います」
向いているのは、 SNSが好きでYouTuberと共通の話ができ、コミュニケーション能力が高い人
YouTuber マネージャーは、どんな性格の人が向いていますか?
「人と接する仕事なので、コミュニケーション能力は高いほうがいいとは思います。でも、コミュニケーションに自信がない人でも、好きなことについてならば話が弾みますよね。動画やSNSという共通の話題でコミュニケーションをとり、YouTuber と信頼関係を作っていくことはできますから、大事なのはSNSやYouTuberを好きなことだと思います」
YouTuberのマネージャーになるには
必要な知識・スキルは?
YouTuber のマネージャーになるために、求められる知識やスキルはありますか。例えば、自分でもYouTubeで動画を発信できるスキルは必要ですか?
「クリエイターの中には、スマホでは動画編集をできるけれど、パソコンで動画編集ができないという人もいます。そうした場合、動画編集や撮影のスキルがあるマネージャーであれば簡単な作業ができるので、より頼りにされると思います。あくまで、そうした知識やスキルはあったほうがいいというだけで必須ではありません。それよりも、アンテナを張り巡らせてSNS上で流行っていること・流行りそうなことを見つけようとするミーハー心のほうが大事だと思います」
企業で働くための土台となる知識やスキルも学べるので、専門学校へ通うのもおすすめ
「私は企業で働いていますが、動画に関する専門知識以前にWordやExcelなどの基本的なパソコンスキルが必須だと日々実感しています。YouTuber マネージャーを目指す専門学校では、そういった社会人として働くための土台となる知識やスキルも学べるので、それは大きなメリットの1つだと思います。『バンタンクリエイターアカデミー』の場合、2年目からは、クリエイターやマネージャーなどのコースに分かれていきますが、チームで企画を考えたり動画を作ったりという実践的な課題が多いと感じました。現場では、いろいろな職種の人と連携しながら仕事を進めていくことがほとんどですから、専門学校のうちからそれを経験できるのはとてもいいことだと思います」
プロダクションに就職するのが一般的
「YouTuberのマネージャーの多くは、GROVEのようなSNSで活躍している人をマネジメントするプロダクションに所属しています。フリーランスのYouTuberに付く人もいらっしゃいますが、もともとそのYouTuberと知り合いだったという人が多いように思います。YouTuberのマネージャーを目指すのであれば、プロダクションに就職するのが一般的ではないでしょうか。とはいえ、どうしても大好きなYouTuberのマネージャーになりたいという夢があるのならば、直接アタックしてその思いを伝えてみるのもいいかもしれません。可能性は低いとはいえゼロではないと思います」
YouTubeにとどまらず、最先端のプラットフォームでクリエイターと一緒に挑戦していく
YouTuberのマネージャーに大事なのは、ミーハーになってトレンドをキャッチし、求められているものを見極める力。そして、新しい分野にも臆さず飛びついていくフットワークの軽さだといいます。
「今は、YouTubeだけではなく、Instagram、Twitter、TikTokなど他のSNSと並行して発信しているクリエイターが多いです。たとえYouTubeがなくなったとしても、新しいプラットフォームが次々に出てくるでしょうから、ネットで発信するものはなくならないと思います。将来性のある分野であることは間違いないので、YouTubeやSNSが好きという自分を信じて、この新しい世界に飛び込んできてください」と、永田さん。とはいえ、即行動派の人もいれば自分がやっていけるか慎重に判断したい人もいると思います。そんな人には、『バンタンクリエイターアカデミー』の企業インターンシップ制度がおすすめです。
GROVE株式会社をはじめ業界企業と連携した長期有償インターンシップで、収入を得ながら実際のマネージャー業務を在学中から経験できます。また、さまざまな業界の企業・プロダクションとも提携していますので、就職に必要なネットワーク作りにも役立ちます。YouTuberのマネージャーを目指す方はぜひ参考にしてみてください。
【監修者プロフィール】
永田早紀さん
インフルエンサープロダクションGROVE株式会社所属。
自身もファッション・ライフスタイル・メイクなど女性向けコンテンツを中心に発信するクリエイターでありながら、
自身の経験を活かしクリエイターのマネジメントも担当する。